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相続人の配偶者の口出しは争いのもと

「相続人の配偶者の口出しは争いのもと」

遺産分割協議の際に気を付けたいのが、相続人の配偶者の存在です。遺産分割の場面で常に意識しなければならないのは、利益相反の関係です。一方の相続人が多く相続すれば、もう一方の相続人の取り分は減ります。こういった関係のことを利益相反といいます。

 

 

 

 

 

 

  • 相続人の配偶者の口出しは争いのもと

よくあるトラブル事例

例えば、母の相続に際して、相続人は長男Aと長女Bの2人(父はすでに他界)。遺産分割協議の場に、長男Aは妻を連れてきました。一方、長女Bは「遺産分けの話し合いに、当事者じゃない人を連れていくべきではない」と考え夫を連れていきませんでした。長女Bは妻を同席させた長男Aに不信感を抱きながらも、面と向かって「こんな場面に妻を連れてくるなんておかしい」とは言えず、話し合いを始めることに。

話し合いを始めると長男Aはいいます。「Bは生前、母から資金援助を受けていたと聞いたぞ。その分、この相続では私が多くの遺産を相続したい」

しかし長女Bは生前に母から資金援助を受けた事実はありません。Bはいいます。「え、ちょっと待って。私はそんな資金援助なんて受けてないわ。言い掛かりよ」

すると、長男Aの妻が口を出します。「お義母さんが資金援助をしたって話は私も聞いたわよ」そして、長男Aも「うん。俺も聞いた。2人も聞いた人がいるのだから、それは事実だろ!」と長女Bにまくしたてます。長女Bは、2人に強く言われ、恐怖を感じ反論することができませんでした。

  • 相続人の配偶者の口出しは争いのもと

その日の遺産分割協議が終わり、長女Bは帰宅後、2人から事実とは異なることを高圧的に言われ反論できなかったことを夫に話しました。その話を聞いて夫は怒ります。長男Aに「相続人同士の話し合いに配偶者を連れてくることがおかしい」「2人対1人の話し合いでは、思ったことが言えないのは当然だ」と抗議の電話を入れました。

このように、相続人の配偶者を遺産分割協議の場に連れてくると、その場にいる人数が多くなり、自然と大人数の意見が強くなりがちです(日本特有の同調圧力があるかもしれません)。さらに、相続人の配偶者が誤ったアドバイスをして、遺産分割協議を荒らしてしまうことも多々あります。

相続人の配偶者には、①自分は相続の当事者ではないこと、②他の相続人と利益相反の関係にあるため中立の意見は言えないこと、③利益相反の関係にある人は安易に口出しをしないこと、をしっかりと知っておいてもらわなればいけません。

 

参)ぶっちゃけ相続「手続き大全」 橘慶太著 ダイヤモンド社