実際に効果のある人格の養成法2
「論語と算盤」渋沢栄一
↑(前回のつづきです)
「顔回は見上げたやつだ。食べるものと言ったら一膳飯に一杯の汁、住むところといえば路地裏のあばら屋。並の人間なら貧しさに音を上げるところだが、あれときたら一向に気にする様子がない。全く大したやつだよ、あの男は」
という一節が「論語」にあるが、こうした価値観を至上のものとせよ、といいたいのではない。孔子が「顔回は見上げたやつだ」と褒めた言葉は、
「何がみんなのためになるのかを考えもせず、豊かで高い地位にいるには、私にとっては浮雲のようだ」
という言葉の裏面を述べただけのこと、別に豊かさを貶めたものではないのだ。しかし、自分さえ豊かになれば満足だとして、国家や社会を眼中におかないというのは、嘆くべきことだ。
話が豊かさの方に流れてしまったが、何にせよ、社会に生きる人々の気持ちが利益重視の方向に流れるようになったのは、およそ世間一般から人格を磨くことが失われてしまったからではないだろうか。
もしかりに国民の頼りとするべき道徳の規範が確立し、人々がこれを信じながら社会の中で自立したとしよう。そうすれば、人格はおのずから磨かれるようになる。その結果、社会のことを考えるのが大きな流れとなり、自分の利益だけを追求すればよしといった風潮はなくなるのであろう。
(つづく)
「論語と算盤」渋沢栄一(ちくま新書)より
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