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「住まいの終活」早めに (愛媛新聞記事)

空き家問題解消策は

「親が亡くなったが、遺品整理が進まない」「家族で意見が対立し、相続協議が進まない」
このような理由で老朽化した家屋が放置され、「空き家問題」が多発している。「住まいの終活」を提唱する明治大学の野澤千絵教授(都市計画)に、空き家が増える背景や対策を聞いた。

総務省の住宅・土地統計調査(2018年)によると、全国の空き家は過去最高の848万9千戸に上り、今後も増加が見込まれるという。
空き家が増える要因として、野澤教授は「所有者が地元におらず対応が困難か、あるいは無関心。所有者が認知症になり、解体や売却が困難なケースもあります」と指摘。
制度上の問題も。空き家を解体すると、固定資産税の軽減措置が解除されて税は3~4倍程度の負担増になる。解体費もネックだ。ウェブ上で解体費の見積もりをサービスする会社クラッソーネ(名古屋市)取締役の堀口晃司さんは「約99㎡の一戸建てなら木造で約150万円、鉄骨造で約200万円、鉄筋コンクリート造で約250万円(全て税抜き)が目安です。

相続前に家族で方針を。 野澤教授(明治大)助言「すまいの終活が当たり前の社会になれば、空き家問題は解消されていくと思います」
野澤教授は、住まいの終活について「所有者や相続人が、早期に住まいを責任ある所有者や利用者に円滑に引き継ぐための活動」と位置付ける。
「空家は、先送りするほど解決に手間も時間もコストもかかる。相続前から対策を考えておくことが鍵になります」
まず心掛けたいのは、あらかじめ話し合い、家族間で方針を決めておくことという。実家などが相続の対象になった場合、①継続的に住む②家屋を残して売るか、貸すか③解体して売るか、貸すか…など選択肢はいろいろある。
「地元に信頼できる不動産仲介業者や住宅買取り業者があるか。土地家屋の利活用には地域の交流サロンや菜園に転換する方法があり、それを支援する自治体の窓口やNPOがあるのか。親しい住民らからアドバイスを受けておくことも重要です」
空き家問題の先送りが多発し、長期化すると、相続後の未登記状態が続くことで所有者の分からない家屋や土地が増える。
「土地が塩漬け状態となり、自治体も対処が困難になり、次世代に大きな負担をかけることになるでしょう」
24年4月からは、所有者不明土地問題対策で、相続不動産の取得を知ってから3年以内の登記が義務付けられる。
野澤教授は「相続登記の義務化を前に、自分の問題として住まいの終活に早めに取り組んでほしいです」と話している。

(愛媛新聞 2022年9月26日)

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